「だから終われない恋」リリース記念オフィシャルインタビュー公開!

4月16日リリースのMACOの新曲「だから終われない恋」。

この楽曲に込めた想いや、独立から約1年を迎える今の心境、5月から始まる全国ツアーのことまで――。

音楽ライター・坂井彩花さんが聞く、MACOの“今”をたっぷり語ったスペシャルインタビューです!

ぜひお楽しみください!✨

▼「だから終われない恋」各ストリーミング・配信はこちら!

https://macoinfo.lnk.to/dakaraowarenaikoi

――2024年5月31日に事務所を退所しているので、もうすぐ独立から1年が経ちますね。

MACO:すごい! 退所日なんて忘れてました(笑)。もう1年なんだ。時の流れが早くて、あっという間でした。それだけ、充実しているってことですかね。

――どんな1年間でしたか。

MACO:学びの多い1年でした。初めての経験ばかり。すべてひとりでやるようになったんです。次はどんなテーマにするか、誰と曲を作るか、どこのスタジオで録るか……、そういうのも全部自分で考えています。あげたらきりがないかもですね(笑)。本当に「初心に戻って」って言葉が、この1年間には一番合うかな。

――すべてが自分主導になり、作品との向き合いかたは変わりましたか。

MACO:めっちゃ変わりました。私が歌いたい歌を、私がしたいアレンジを、納得いくまで追求できる。今のMACOチームは「自分の好きな歌詞と音楽をやればいいんじゃない?」って言ってくれるので、すごく楽しいです。最近では、レコーディングのときに使った、書きこみがいっぱい入った歌詞の紙を、大事に持ち帰るようになったんですよ。前なんて「あー、もう疲れた!」って感じでビリビリに破いて、捨てて帰ってたのに。

――それは、楽曲に対して一段と“自分の分身”のような感覚が強くなったということですか。

MACO:そうです、そうです。自分で作り上げたし、周りのみなさんがいてこそ作れた。独立してから作った曲の歌詞の紙は、全部とっておこうと思ってます。今の私にとっては、宝物なんです。

――独立して自身の表現を貫ける環境になったことで、「伝わりやすさ」よりも「表現したいこと」を優先できるようになった感覚もありますか。

MACO:歌詞については、何を言われても「これはこうじゃなきゃダメなの!」って、いつもみんなを説得していたから、前とそんなに変わらないかも。私もけっこう我が強いので(笑)。とはいえ「ここは、なんて言ってるんだろう?」みたいな言葉を入れられるようになったのはあるかな。今の環境では「確かに前のもよかったけど、MACOがいいと思うなら、これが1番だよ」という言いかたをしてくれるんです。

――作品にアーティスト性が反映されやすくなっていそうですね。

MACO:でも、まだまだ枠に捉われがちな自分もいるんですよ。「やっぱりサビは聴きやすい言葉のほうがいいかな」とか「言葉を詰めこみすぎないほうがいいかな」とか、いろいろ考えちゃう。ずっと「宣伝ではサビが流れるから、わかりやすい言葉のほうがいいんじゃない?」って言われてきて、そこに合わせに行ってる自分もいたから、今でもちょっと拭いきれなくて。いろんなことが染みついてますね。

――自分に染みついたいろいろなことに気づいた1年でもあったと。

MACO:そうですね。だけど、そこをぶち壊していく楽しさもあって。最近は「所詮音楽は、鼓膜にどう響くかだな」と思うんですよ。すごくこだわりは強いけど、トータル的に自分が納得できて、イヤホンで聴いたときに「いい曲だな」と思えればいいかなって。なおかつ、自分が歌いたいことを歌えてればいいなって思うようになりました。

――以前は「MACOの曲を聴くことで、恋をしたくなってほしい」とお話しされていたとじゃないですか。それが、ある時から「曲から何かを感じてくれたら嬉しい」というようになったのは、何かきっかけがあったんですか。

MACO:自分にふと降りてきたというか。気づいたら考えかたが変わっていた感じなんですよね。ふとしたときに「恋をしてない人は、どうやってMACOの曲を聴けばいいの? 入口はなんなの?」と思い始めて。「「恋をしてほしい」なんておかしい」と感じるようになったんです。だって、人生はハッピーハッピーばかりじゃないし、極端な話だけどMACOの曲を聴いて「死にたい」って思うのも自由じゃないですか。私の曲が耳から鼓膜に届いて、胸に入っていって歌詞に癒されたり救われたりするのが音楽だと思うんです。「恋をしてない人にも恋をしてほしい」は、もう一切思わないです。

――続いて、作品についてもお伺いしたいと思います。「だから終われない恋」は、どのような楽曲でしょうか。

MACO:「恋が始まった」と思っていたけど、そもそも始まっていなかったから、終わらせることができないという気持ちを描いた楽曲になっています。ひとつの恋愛を振り返ったときに、「愛してなかったな」と思ったんですよね。だから、歌詞の“あいしてる”は漢字ではなくて、ひらがな表記にしていて。「始まらせてくれなかったから、この恋は終われない」ということで、「だから終われない恋」なんです。

――前作の「MY LIFE, MY LOVE」と裏表になるような切ない1曲ですよね。

MACO:今の日本ではいろいろなことが起こっていて、孤独を抱えている人たちの寂しさや死にたい気持ちって拭いきれないと思うんです。でも、そんな人にとって、この曲が「死にたいけど生きてやろう」と思えるお守りになったり、嫌な思い出を忘れていくお供になったりしたら嬉しいなって。あとは、普遍的な愛の歌が届きにくくなっているなかで「切ないときに聴くプレイリストに入るのはMACOだね」ってなればいいなという思いもありました。

――「だから終われない恋」の制作は、いつ頃から始まったんですか。

MACO:実は前の事務所にいた頃から、ずっと温めていた1曲なんです。デモの段階で2番の歌詞まで出来上がっていたんですけど、初心に戻るという思いもこめて、今回のリリースにあたってアレンジも歌詞もガラッと変えて、1から作り直しました。

――サウンド感だけでなく、歌詞も大きく変更されたんですね。

MACO:ミュージシャンの皆さんとのレコーディングで生音の演奏が素晴らしすぎて、めちゃくちゃいろんなことを思い出しちゃって。あんなに余白があるなら、もっと言葉を詰められるなって。アレンジャーの島田昌典さんから、「最初のメロもとても素敵だったけど、ぶち壊しちゃっていいんじゃない? MACOさんの好きなようにしたらいいよ」と言ってくださったのもあり、めちゃめちゃアップデートしました。

――楽曲のなかで歌われている情景も、大きく変化しましたか。

MACO:変わりました。曲を温め続けていた期間によって、自分のなかで本当に他人みたいになっちゃたんですよね。もともとは「一緒にいれば似てくると思ってたのは勘違いで、まだまだふたりの距離が遠すぎる」といった内容だったけど、今では「会ったら何を話すんだろう。もしかしたら、何もないかも」って思うようになっちゃって。「大嫌い」って言葉が、この歌にぴったりだと思い、2サビの最後にいれました。

――5月からは『MACO~CAN'T END THIS LOVE TOUR 2025~』が始まりますね。

MACO:「だから終われない恋」が告知されたことで、ようやくツアータイトルの伏線回収ができました(笑)。

――どのようなツアーになりそうですか。

MACO:家で考えるセットリストとジムで降りてくるセットリストが全く違うので、今はまだあやふやです。とはいえ、函館・CLUB COCOAはスカウトされる直前まで歌っていた場所ですし、デビューしたての頃はクラブツアーもやっていたので、初心に戻りつつも新しさのあるライブにしたいと思っています。ホールツアーではないからこそ、もっと自由に楽しくやれるんじゃないかなって。今までは指定席を採用していたんですけど、制作チームを変えたこともあり、「自由席でもいいんじゃない?」っていう話も出てるんです。みんなできっちり見るのではなく、立っている疲れを感じさせないライブにしたいですね。あとは、このツアーを通してMACOの人となりをもう1度感じてほしい。いわゆる「MACOちゃん」のイメージをぶっ壊して、ありのままでふざけがちなMACOが伝わったらいいなって思います。

(取材・文:坂井彩花)

photographer: tomoya nagatani